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白妙に入社した福田さんの チャレンジストーリー |
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女将さんも認めた販売適正
「いらっしやいませ」
ひっきりなしに訪れるお客さまに福田さんが声をかける。お店の片隅を借りての取材。なかなか進まないのを気遣って、女将さんが代わって相手をしてくれた。
「彼女のいいところは、あの見るからに福々しい人柄ですよ」
ホラ、あなたにもわかるでしょ、とでもいうように、女将さんはこちらの顔をのぞき込む。
「せっかくいい物を作ってもね、販売が悪ければ台なしなんです」
だからこそ採用時の面接では経験や敬語のできるできないでなく、態度からにじみ出てくるものだけを見るようにしているという。
「ほかのことは教えられても、人に対する優しさは教えてできるものじやありませんから.......ネ」
「おいしかった」その一番か励みになる
'98年8月、勤めていたカバン店が突然店を閉鎖し、福田さんは職を失った。ショックで、1ヶ月は何も手につかなかったという。
「若い頃は、転職をするにもフットワーク軽くエイッと飛び出せたんですが、今度ばかりはそうはいかなかったですね......」
売上げダウンは知っていたが、自分の年齢と景気を考えると逆に、「しがみつかなければ」と思っていたという。「両親も心配してましたし.......。」また、20代のときには考えなかった "今後" が気になったとも。
「たとえ就職できても、長く続けられるところでなけれぱ意味がありませんから」「白妙」の求人は『とらばーゆ』で知った。
「自宅が自転車で通えるくらいの近所ですから、お店はよく知ってました。こんな所に勤められるといいなと応募したんですが、採用が決まるまでは不安でしたねぇ」
売るものが変わってとまどったのは「食べ物には賞味期限がある」ということ。いつまでもつのか、中には何が入ってどんな味がするのか。祝儀不祝儀への向き不同き。名前、価格だけでなく、食べて一番おいしいタイミングを知るために覚えることはたくさんある。「それでも、毎日通ってくださる方と少しずつ知り会う楽しさは今までには得られなかったことです。 "おいしい" って一言葉は、それだけで一言われると嬉しくなる言葉ですよねぇ」
50代の先輩を目標に、じっくり働き続けたいという。